大判例

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福岡地方裁判所 昭和46年(ワ)980号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕3 逸失利益

(一) <証拠>によれば以下の各事実が認められる。

(1) 原告の右腕肘関節後遺症は現在一〇〇度屈曲位、前腕回内、回外中間位で完全強直位をとり、自動他動とも不可能で、右腕の握力は左腕の26.5キログラムに対して一〇キログラムと劣つており、その運動能力は軽量のものを持つこと、筆記すること位しかできず、それらさえ長時間にわたると疼痛の為困難となり、又食事、洗面、洗髪、ボタンやネクタイの着脱等は全く不可能である。そして右の完全強直は手術等によつて関節の可動性を獲得することは非常に困難である。但し、自動車の運転は事故後原告が改めて練習し、査定を受けたことにより現在可能となつている。

(2) 原告は、現在佐賀市のスーパーマーケット主婦の店に店長代理として勤務し、月収四万六、五〇〇円を得ているが、その仕事の内容は事務をとる他商品の出し入れ、陳列等の肉体労働も含み、又配達も当然なすべきところ重いものを持つことができないので人にかわつてやつてもらつている。

(二) 以上の事実を綜合すれば原告は現在前認定の本件事故前の平均日給一、三〇三円を月収に換算した金三万九、〇九〇円を上まわる四万六、五〇〇円の月収を得ており結局損害はないかにみえるのであるが、右の如き重大な後遺症にもかかわらず従前以上の収入を得ることについては原告において従前以上の精神的肉体的努力の必要であつたことは容易に推認されうるところであり、それだけの努力を事故に会うことなく傾注していたならばより以上の収入を得ていたことも当然考えられるのであつて、現在の収入がすでに事故前のそれを上まわつている一事をもつて本件傷害による利益逸失の不存在を断ずることはできない。

もつとも現在従前以上の収入を得ている以上、その労働能力喪失率は控え目にみなければならず、それに労働能力喪失率表を参考にして(原告の後遺症は同表の八級六号に該当する)一五パーセントの喪失率をもつて相当と考える。

そこで原告の逸失利益を算定するに、原告が一日平均一、三〇三円の収入を得ていたことに、右労働能力喪失率ならびに原告が六三才まで三七年間稼働できるであろうと推定される事実(原告が昭和一七年二月一四日生であることが成立に争いのない甲九号証により認められる)によれば、その額は一一九万二、一六四円になる。

(中池利男)

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